MoVI M10を導入してから早くも5年が経とうとしている。
未だに活躍してくれるばかりか、もはや無くてはならない存在だ。

今回Freeflyから発売されたこのiPhone用のジンバルは、MoVIを使用する撮影のロケハン用途としての導入を検討していた。

携帯電話用のジンバルとしてはOSOMO mobileなどがあるが、ロケハンで気軽に使うという用途としては大きすぎると感じており、導入には至っていなかった。
しかしこのMOVIは、コンパクトに収納できるという点にも注力しているように思え、実際に手にとってみたいと思いオーダーした。

軽量ながら頑丈さも兼ね備えたセミハードケースは高さ18.5cm×幅21.5cm×奥行き8.5cmというサイズ。
当然ながら本体はそれよりひと回り小さく、感覚的にはCANON EOS 5Dと同程度だと感じる。
カメラバッグに少しスペースがあれば簡単に収納することができる。

同梱物はケースと本体、そして充電用のUSBケーブルというシンプルな構成。

早速試しに起動してみようと思い、マニュアル類を全く読まずに専用のiOSアプリをダウンロードして携帯にインストール。
iPhone用の他のアプリと変わらずにワンクリックで簡単にダウンロードとインストールが行える。

アプリを起動すると、チュートリアルが始まる。
その説明に従ってごく簡単なバランス調整を行い、本体とiPhoneのペアリングを行えば準備完了。
ここまでの過程において、専門的な知識は一切必要とされないし、所要時間はわずか数分。

gomovi.comというサイトにチュートリアルが掲載されているので、まずはこのサイトでセッティングや操作方法に関する情報を確認することも可能だ。
しかし基本的な設定はチュートリアルを見る必要が無いほど簡単である。
とはいえ、同サイトにはこのジンバルを用いた作例なども掲載されているので、一読をお勧めする。

解像度やフレームレートなどカメラの設定、ジンバルのレスポンス速度などの基本的なセッティングに関しては、一目で理解できるシンプルなメニュー構成となっている。
この手の機材を初めて使うユーザーでも、すぐに使いこなすことが出来るだろう。

そしてハンドル部にはRecボタンが付いており、また十字キーの上下では明るさの調整が出来るというのが嬉しい。
基本的には撮影中にiPhoneに触る必要はない。
またプレビューに際してもわざわざカメラロールを呼び出す必要はなく、十字キーの左ボタンをワンタッチするだけで再生することが可能だ。

言うまでもなくジンバルとしての完成度はFreeflyの製品ということもあり非常に素晴らしいが、それに加えてこれらの機能がiPhone用のジンバルとしての魅力を増している。

当初想定していたロケハン用途には余りある完成度だ。

さて、早くも一通りの機能を把握できたので、より実践的なテストを行うべく外に持ち出してみる。
そうしているうちに、様々な撮影アイデアが湧いてくる。

小規模であったり機動性が重視されるドキュメンタリーの撮影の場合、特に海外での撮影の場合などでは持っていける機材に限りがある場合が多い。
しかしこのMOVIをカメラバッグに忍ばせておけば、そのような場合でも手軽に移動ショットを撮れることを気づかされる。
「あの撮影でこのMOVIがあればもっと効果的な風景カットを撮ることが出来た」「時間が無い中でも街中の移動ショットが撮れたな」などと、テスト撮影しているうちにこのMOVIの持つ可能性に気づかされた。
もちろんiPhoneだから画質的には限界があるものの、ストーリーを伝える上で効果的であるならば、時には画質のクオリティーを差し引いてでもこの機材を使いたいという場面も出てくるだろう。

また、普段はiPhoneのカメラの機能はほとんど使わないので恥ずかしながら今回初めて気づいたことだが、私が所有しているiPhone XはフルHDで240Pでの撮影が可能だ。
例えば夕陽をバックに鳥が羽ばたいていく様子を240Pで、なおかつ移動しながら撮ることが出来れば、心象風景を表すカットとしてはかなり印象的なものが撮れるだろう。
しかしながら、そもそもそれに適した機材が無いとこのようなアイデアも出てこないので、今後は小規模で機動性が重視されMoVI M10を持っていけないような現場では、出来る限りこのiPhone用のMOVIをカメラバックに忍ばせておくことにしたい。

しかし本格的に使用することを想定すると、このMOVIだけでは足りない部分もある。
iPhoneとMOVIという組み合わせでの撮影を初めて試してみたわけだが、まず最初に感じたことはワイドさが足りないという点だ。
iPhone用のワイコンの有無を調べてみたが、FreeflyのストアにMoment New Wide Lensという×0.63のワイコンがラインナップされていた。
これを装着すると、その重量により別途カウンターバランスが必要になるようだが、Freefly純正のカウンターバランスもラインナップされている。
私の撮り方だとこのワイコンは絶対に必要なので早速これらのアクセサリーもオーダーし、それと組み合わせた状態でどこまで使える機材になるのかというところを改めて判断したい。

当初はロケハン用途として考えていたのだが、実際に使用してみると色々なアイデアが生まれてくる。
詳細は理解できていないのだが、iphoneのARの機能を使ってバーチャルな被写体をトラッキングしながら撮影できるという機能もファームウェアアップデートにて対応するとのことなので、そのような撮影での活躍も期待できることだろう。

しかしながら、今回このMOVIを使ってみて一番強く思ったことは、使っていて純粋に面白いと思える機材だということだ。
簡単にセットアップできて軽量なので、時間が空いた時に手軽に使用することができる。
そうすると、このようなショットはどうだろう、このような動きが格好良いかもしれない等と思い浮かんだアイデアを手軽に試すことができる。
考えてみれば5年前にMoVI M10を手に入れた時も、暇さえあればそのように色々なアイデアを試していた。
しかし時が経つに連れ、いつの間にか本当に必要な時にしか起動しないようになってしまった。
その主たる理由はセッティングなどが面倒臭く、手軽に手に取ることが出来ないという点にある。

このMOVIに関しては、今では起動するまでに1、2分しか掛からないし、軽量なので肉体的な負担も無い。
気合いを入れずとも、なんとなくといった感じで手に取って、遊んでいるうちに色々な撮影アイデアが湧いてくるという面白さがある。
個人的にはそれがこの機材を所有する一番のメリットだと感じた。

 

 

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本間 様